脊髄損傷 体験談


グアムの青空の下、初ダイビングに挑戦!

◆プロフィール
氏名 青柳 泰次郎
年齢 ?
職業 障害者雑誌「wawawa」のスポーツコーナーのライター
◆障害プロフィール
障害名 脊髄損傷(C4,5)による四肢体幹機能障害
障害年齢 13年 中学3年の時
理由 プールに飛び込んで水底で頭を打ってしまった為
◆ダイビングについての一問一答
Q1. ダイビングをやってみようと思ったきっかけは?
A1. 現在、障害者情報雑誌"チェアウォーカーWaWaWa"でサッカー中心のスポーツコーナー"Forza!"を担当し執筆活動を行っているのですが、今回2004年11月、「グアムの青い空と海の下でダイビング、トローリング、サッカー、ボーリングといったスポーツに挑戦し、障害者の更なるスポーツの可能性を追求しよう!」という趣旨の企画が"WaWaWa"で持ち上がり、"日本バリアフリーダイビング協会"のサポートにより『バリアフリースポーツ交流会inグアム』が実現・開催され、参加することになりました。
Q2. ダイビングをする前の気持ちは?
A2. 以前より特にダイビングに興味がありやってみたいと思っていましたが、肩から下が動かない自分に出来るのかという疑問と不安がいっぱいでした。
Q3. Q3.不安の中、ダイビングの講習を受ける決意をしたのは何?
A3. 今回サポートして下さる"日本バリアフリーダイビング協会"会長山田さんにお話を伺い「同じような方も挑戦したことはあるし、大丈夫!タイちゃんも一緒にやりましょう!」と力強く答えてくれた山田さんの言葉が強く胸に響き、「こんなサポート体勢がバッチリな状況はなかなかないだろうし、この機会を逃したらいつまたチャンスがあるか解らない!やってみよう!」と13年ぶりのプールとダイビング初挑戦への気持ちがギリギリになって固まりました。
Q4. ダイビング実技の前の講習の内容は?
A4. 初挑戦となるのでまずダイビングを行う上で必要な理論、器具説明、技術、心得…といった大切な事柄を学ぶことになりました。筒をくわえて水中に潜る忍者の"水遁の術"は気圧の変わる深いところではできない!などといった楽しく解りやすい説明も交えながら講習を受けているうちにワクワク!ドキドキ!と胸の高鳴りが強くなっていきました。
Q5. 実技において、ダイビングスーツの装着は?
A5. グアムの気候はとても暑く水温も温かかったのですが、体温調節が苦手で熱の心配もあったので念のため保温性のあるウェットスーツを着ることにしました。ぴちっとした素材のため地上で着せてもらうのは一苦労でしたが、着てみると身体にフィットして意外に気持ちが良かったです。
Q6. 車椅子でのエントリー方法は?
A6. プールへ入るにはまず車椅子からプールサイドにあった椅子に乗り移り、補助台を入れて水深を浅くした場所へ椅子ごと運び入れ腰ぐらいまで水に漬かった状態とし、ワンクッションおいてから椅子ごと身体全体が漬かる深さへ滑り降りるように入水して行きました。首筋、頭と伝わってくる水の感触は少し冷たく感じましたが、懐かしい感じがしました。やはり怪我したのがプールということで考え深げな想いはありましたが怖さなどは全くなく、水に入れた喜びがじわじわと湧き出してきました。
Q7. ダイビング機材の装着は?
A7. 少し水に慣れたところでいよいよ初ダイビングへの準備へと移って行きました。タンクを背負わせてもらい、マスクをかぶり、レギュレータをくわえ違和感がないか水上で呼吸のチェックを行いました。
Q8. レギュレータによる呼吸は苦しくはないか?
A8. もっと吸うのに力がいると思っていたのですが、スムーズに酸素が吸えることに驚きました。凄い器具!違和感はありませんでした!
Q9. 潜行の瞬間及びその時の気持ちは?
A9. いよいよ潜行!ブクブクとすっぽり頭まで水に漬かり、まず初めは呼吸の練習を行いました。大きな呼吸を心掛け何度かやってみるうちに吸うよりも吐く方に力を注ぐと良いことがわかり、サポートして頂いた山田さんのOKサインに首を縦に振りOKサインを返し第1ステージクリア!。
Q10. 耳抜きは?
A10. 鼻を摘んでもらわなくいても大きいアクビのような技で第2ステージも楽々クリア!
Q11. 潜行途中の耳抜きは?
A11. プール半分から急激に深さを増す蒼い世界は少し不気味に見えましたが、少しずつ降りては耳抜きをするという同じ作業を3、4回繰り返すといつのまにかプールの底へたどり着いていました。深いところでの"耳抜き"はプレッシャーもあるので浅いところよりもしにくく、鼻を摘んでもらいましたが、後は問題なく簡単に行えました。
Q12. 底まで到着した時の気持ちは?
A12. プールの底には魚の姿はもちろんありませんでしたが、壁が鏡になっていて自分のゆらゆらと立ち上がる姿が映し出されており、そんな自分の姿と久しぶりに出会うことができました。そして、水面から蒼い世界へ降り注ぐ光が神秘的で美しい世界を創り出していました。水の中は泳ぐと言うよりも無重力の宇宙感覚。手足の重さも感じずまさにバリアフリーの世界でありました。少し水との一体感を楽しめました。
Q13. 浮上する時の気持ちは?
A13. 名残惜しみながらゆっくりと浮上。「浮上時には息を止めず呼吸をし続けるのがポイント!」そう思い出しながら深呼吸を続け元の地上の世界へと戻っていきました。
Q14. エキジットの方法及びその時の気持ちは?
A14. 体験を終え、脱ぎやすい水中でウェットスーツをズルッと脱ぎ、入水とは逆の手順でプールサイドに上がると、温かい日差しの下しばらく込み上げる初体験の喜びと興奮に浸っていました。
Q15. はじめてのダイビングを終えての気持ちは?
A15. スポーツはいろいろ数あれど、健常者・障害者をルールで区切り別のスポーツと して分かれてしまうものが殆どで、誰でも一緒にそして同じ条件で楽しめるスポーツというのはなかなかないように思います。そういった意味でもダイビングは誰でも平等に出来る貴重で素晴らしいスポーツではないでしょうか。今回体験してみて、怪我して以来やっと本当のスポーツが出来たという爽快感を味わうことができてハマりそうです。次回は是非、海でのダイビングに挑戦し、蒼い世界で魚たちに出会いたいと強く思いました。日本バリアフリー協会さんこれから宜しくお願いします!
Q16. 今後のダイビング対する気持ちは?
A16. 今回のグアムでの挑戦は、まさにに怪我して以来13年ぶりのプールに入り、初のダイビングを体験できたと言うこと以上に、何か大きな一歩を踏み出し、ひとまわり自分が大きく成長できたようなとても価値のある経験となったと思います。そして、是非多くの人に同じようにこの爽快感と喜びを味わって欲しいと思います。きっと、自分の中で何かが弾け素晴らしい変化が起こるではないでしょうか。今回このようなチャレンジができて本当に良かったと思い、サポートしくれた山田さんや皆さんに感謝したいと思います!そして、勇気をくれたグアムの太陽にも感謝!また蒼い世界へ戻りたいと思います…!

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